凪(なぎ)を求めて

居宅で介護サービスを受けている要介護者の家族によるブログ

誠実な介護サービス事業者を増やすには

居宅で介護サービスを受けているなかで「さすがにこれはちょっと…」というような問題が起こり、サ責やケアマネにコンタクトを取らなければならない局面が発生することがたまにある。クレームを言われるほうも嫌だろうが、言うほうも嫌なものである。

さて、ネットで介護事業者の声を読んでいると、事業所にクレームを入れる利用者について、介護保険制度の趣旨を理解していない(家政婦と混同されている)だとか、あげくのはてには「金を払っているんだぞというお客様気分」だとかいう声さえ目にすることがある。

利用者が大勢いれば、なかには無理難題を要求する利用者も一部にいるのかもしれないし、うんざりさせられることも多々あるのだろう。

しかし、だからといって「介護サービスの9割は公金(介護保険)から支払われている*1のだから、1割しか払っていない利用者側は権利意識を持つな」「金を払っているんだぞというお客様気分になるな」というような事業者側の物言いには、さすがに賛同しかねる。

 

ご存知のとおり、介護保険料は、40歳以上の人から税金のように強制的に徴収されている。そうした公的な性質の金を9割使って行われるのが介護なのであるから、介護事業者は、利用者に対してだけでなく、保険料を納付している市民全員に対して責任を負わなければならない。利用者がその全額を負担して行われるサービスよりも、むしろその責任は重大なのである。

そうした社会的意識がきちんとある、誠実な介護従事者からは、前述のような「上から目線」の物言いはさすがに出てこないと思うのだが、果たしてどうだろうか。

誠実な介護サービス事業者を増やすためには、介護保険料を納付している市民ひとりひとりが、もっと介護の現場に関心を向けることが必要だ。具体的には、身近な要介護者やその家族に「介護ってどうなんですか」と聞いてみてほしい。

誰もがいずれ将来、自分自身や親族が介護を受ける可能性がある。前もって介護を受ける側の声を聞いておくことは、けっして損ではないはずだ。

*1:そもそも介護を受ける側にとって、その費用負担は(よっぽど裕福な家庭でない限り)重い問題である。介護保険が適用になるサービスに限っていえば確かに1割負担だが、介護保険が適用にならない全額負担の部分も多々あり、決してトータルで見れば安い金額ではない。