凪(なぎ)を求めて

居宅で介護サービスを受けている要介護者の家族によるブログ

介護という名のシャドウ・ワーク

現在「高齢者虐待防止法」という法律があり、介護放棄は「虐待」と定められている。介護放棄とみなされれば、地域包括支援センターによる立ち入り調査などが行われることもあるという。言い方には語弊があるかもしれないが、介護というものは事実上、介護者にとって「法律で定められた義務」のようなものになっている。

その一方、家庭の介護者は社会でどう評価されているかというと、たとえ介護のために仕事に就けなかったり、退職を余儀なくされたとしても、介護が労働に準ずるものとして評価されることはまずない。ただの無業者・専業主婦・家事手伝い等として扱われてしまうのである。介護はシャドウ・ワークになってしまっているのだ。

また、その苦労を他人に話しても、経験上、軽く流されてしまうことが多い。場合によっては、「うちのほうがずっと大変だった」(≒お宅はたいしたことない)と、不毛な不幸自慢合戦になってしまうことも珍しくない。

家庭の介護者に重い義務を課すからには、それに見合った社会的評価やインセンティブが与えられるべきではないだろうか。たとえば、介護度に応じた報奨金が払われたり、税制で優遇されたり、再就職の際に有利に扱われたり等。現状ではあまりにも「損な役回り」にすぎないから、介護から逃げたがる親族が後を絶たないのだ。